リコヘナを作るまで
2009年にヘナを知りそこからヘナの面白さに魅了されています。
今までたくさんのメーカーのヘナを自分にもお客様にも使用してきました。
色々使っていく中で何を持って『良いヘナ』というか、について考えました。
美容師目線で見ればまずはちゃんと染まること。
これは必須条件になりますが植物であるヘナは毎年毎年全く同じ条件のものが採れるとは限りません。
同じ産地のワインが毎年少しづつ色や味が違うようにヘナも微妙に変わります。
ですのでただ良く染まる!だけを打ち出すのは植物を扱う美容師として少しセンスが足りないなあと思うようになりました。
冒頭でお伝えした通り私の中でヘナって『染料』よりも『野菜やお茶』に近い存在だなあといつも思います。
頭皮にしっかりヘナをつけて塗る時もヘナの成分が沢山頭皮に行き渡りますように、、と思いながら塗っていますので頭からサラダ食べてる感覚と言いましょうか、とにかく食品に近い目線で見ています。
そうなってくると大切なのは鮮度と質の良さに行き着くのです。
質の良さとはヘナ以外の混じり物がなくちゃんとしたルートでパウダーまで仕上げられていいるかということです。
よくお伝えするのが自分の家族に食べてほしいのは
朝採れ有機野菜か、スーパーの見切り品野菜かどっちですか。という質問。
この質問は100%前者を選びますよね。
ヘナはこの感覚を大切にしてほしいなと思います。
リコヘナが誕生したのは私がヘナ専門店をオープンして3年経った時でした。
この頃は毎日現場に立ち沢山のお店のお客様を見ることができていました。
その中で一番お客様に人気だった配合がマロングラッセ、次にブラウニーの配合でした。
リコヘナのブレンドは現場のニーズがそのまま商品となって誕生しています。
ですので美容室さんはそのままサロンで使用していただいてお客様がご満足いただける仕上がりとなっております。
■リコヘナ製造の過程
インドを侮るなかれ。。
日本の農業とは訳が違いすぎる
リコヘナを作ると決めてからインドに行きヘナ畑や工場視察、取引視察もしている私ですが
毎度衝撃を受けてます。
ヘナの商品になるまでのルート
農家→国が定めた取引所→工場→製品
リコヘナのヘナはインドの西側にあるソジャットというエリア。
ここはヘナ産業が盛んで日本で言う『魚沼産コシヒカリ』みたいな場所です。
ヘナ農家さんは先祖代々続いている家業が多く、農家のカーストは低めです。(カースト制度まだまだ根強い)
そのため学校も行かず教育をされていないまま大人になる人も多く、日本の農家さんなら美味しい大根を消費者に届けたい!など
皆さん熱意や志がある方の多いですがインドの場合ただ作業として農家をしている人がほとんどです。
私がリコヘナの製造契約をした工場は首都デリーにあるインド政府の認定工場になります。
ここにした理由は社長や幹部クラスは皆カースト上位で先進国の感覚がわかることと
製造する機械機材がちゃんとしている、衛生状態もしっかり保たれている、ヘナパウダーの細かい検査もしっかりやっていること。
それから社長たちの人柄が素晴らしいこと。
インドの農業にしっかり教育を与えたいと農家さんに対してもフェアな関係を築いています。
ヘナは国営の産業なため政府が定めた取引所(一箇所だけ)に全て集められます。
ここに農家さんは大きな麻袋に入れた葉っぱを卸し、工場の人が買い付けに来ます。
取引の際によくあるのが農家側が砂や石を入れて重さを増して高値で売ろうとすること。
そして買い取り手も雇われの人が殆どなので中をよく見ません。
このようなことが起きるのは買い手側がヘナを安く叩くからです。
(カーストの悪しき習慣を感じます)
リコヘナの工場はソジャットにスパイを送ります。
まずどの農家さんがある程度しっかり仕事をしていそうか見極めます。
ヘナが育った頃に目をつけていた農家を訪れ、ちゃんと綺麗で良質なヘナを用意してくれるならあなたの言い値で買い取ります。
そして良いヘナだと判断したら来年もまたお願いしたいと思っていると伝えます。
こうすることで農家さんは砂や石を入れるなんて勿論せず良い状態のヘナを用意してくれ自分たちの生活がちゃんとできる金額を手にすることができ、きちんと作ることは大切なことなんだと学びます。
農家で先に契約しますが取引自体はは取引所で行わなくてはならない為、ヘナを持っていく日を約束しあい、リコヘナの社長自ら取引所に向かいます。
そして袋に手を入れて中身がちゃんとしているかをしっかり確認します。
多くの工場が人任せにしている取引ですが原料をしっかり自分の目で見る姿勢にも信頼を置けるなと思いました。
こう書くと採れたてのヘナだけを取引しているように感じるかもしれませんが多くは
数年前からずっと保存されているヘナの取引です。
ご覧の通り屋根しかないストック場所なため雨風に当たり続け中身はゴミのよう。。。
ヘナは濡れると染料が流れてしまったり雑菌が繁殖するのでこの状態はとてもNGなのです。
しかし古いヘナは安いから売れていきます。
この葉っぱに少しでも染料を混ぜればしっかり染まるヘナが出来上がります。
また、パウダーにしてしまえば元がどんなものだったかわからなくなるのでそのまま100%ヘナ
として商品化されることもあります。
(古いパウダーは茶色いので見た目でわかります)
工場がある首都まで10時間以上をかけてトラックで運びますがこの時に雨に打たれることも。
雨ざらしで進むトラックも沢山ありますがリコヘナはちゃんとビニールでパッキングされて雨風に影響されないように運ばれます。
そして工場に運ばれたヘナはゴミや砂をしっかりフルイにかけて様々な検査をし、純度の高いヘナパウダーにされます。
この工場はとても大規模な寮を作り、働くスタッフは家族と一緒にここで暮らしています。
また就労時間の適正化や賃金も正当に払われホワイトな雇用を守っています。
自分たちだけでなく関わる生産者や働く人、環境などに配慮できている工場で作られている
リコヘナ。
商品としての質の良さは勿論ですがストーリーがある。
専門店としてここのヘナを応援したい、広めたいという気持ちでリコヘナを作っています。